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VOICEVOXで「自分の声」は使える?できない理由と基本仕様
結論からお伝えします。現状のVOICEVOXには「自分の声」を登録したり、AIに学習させて再現する機能はありません。VOICEVOXは、多数の個性的なキャラクター音声や声優ボイスが最初から用意されており、その中から好みの声を選んでテキストを読み上げる仕組みです。
なぜ自分の声が使えないのか?主な理由は、VOICEVOXの音声合成エンジンが個人ごとの音声学習やカスタムモデル作成に対応していないためです。ユーザーが自分の声素材をアップロードしてAI音声を作成する、といったカスタマイズは現状できません。公式にも「新しい声の追加は、開発チームによる制作・管理の範囲に限られる」と明記されています。
よくある「キャラクター追加」「自分の声を学習させてみたい」といった要望は多いものの、著作権や品質管理の観点からも一般ユーザーが自由に音声モデルを作成できる設計ではありません。今後のアップデートで仕様が変わる可能性はありますが、2025年5月時点では「自分の声で喋らせることは不可能」となっています。
自分の声をAIで喋らせることができるサービス一覧

「それでも自分の声をAIで喋らせたい」という方に向けて、他のAI音声合成サービスやクローン音声技術をご紹介します。
近年では、「自分の声を学習させてAI音声化できる」サービスが国内外で登場しています。ここでは代表的なものをピックアップします。
・CoeFont(コエフォント)
日本発のAI音声プラットフォーム。自分の声を録音・学習させて「自分だけのAIボイス」を作成可能。日本語対応で操作も比較的簡単。
・ElevenLabs
海外で注目されている音声AIサービス。英語中心だが、短いサンプル音声をアップロードするだけで高精度なAI音声クローンを作成できる。日本語にも一部対応。
・VALL-E(Microsoft Research)
技術デモ段階だが、数秒の音声から「声の特徴」を抽出してAI音声を生成できる。今後の実用化に期待が集まっている。
・Voicemod
主にリアルタイムの声変換やボイスチェンジャー機能が充実。自分の声そのものをクローンするわけではないが、変換バリエーションが豊富。
・so-vits-svc、RVCなどのオープンソース音声変換
PC上で自分の音声データを大量に用意し、AIモデルを自作してクローンボイスを作成可能。技術知識が必要なため、中級者・上級者向け。
それぞれのサービスの特徴と選び方
では、上記サービスの違いや選び方のポイントを解説します。
まず一番手軽なのは「CoeFont」。日本語対応で、ガイドに従って自分の声を録音するだけでAIボイス作成が可能です。商用利用にも対応しており、YouTubeやナレーション等の活用事例も多いです。
ElevenLabsは、英語音声の精度が非常に高く、ビジネスシーンや海外向けコンテンツにも最適。短い音声サンプルだけでAIボイスができるため、英語での利用を検討している方におすすめです。
VALL-Eやオープンソースの音声変換ツールは、「本格的に自分の声AIを自作したい」人向けです。データ準備やPCリソースなど、ある程度の知識や環境が必要となります。
リアルタイムで変換したい場合はVoicemodなどの「ボイスチェンジャー系」を選択肢に入れるとよいでしょう。ただし、完全な「自分のAI声」ではなく、声質を似せたり別人風に変えるタイプです。
選び方のポイントは、
・日本語対応かどうか
・操作の難易度
・商用利用の可否
・必要な音声データ量
・用途(動画ナレーション、配信、個人利用など)
このあたりを基準に、目的に合ったサービスを選ぶのがおすすめです。
【初心者向け】自分の声をAI化する手順(CoeFontの例)
初心者の方が最も手軽に試せるのは、やはり「CoeFont」です。ここでは、CoeFontで自分の声をAI音声にする大まかな流れを紹介します。
- CoeFontに無料アカウント登録をする
- サービス内の「自分のAI音声を作る」ページからガイドに従って録音を開始
- 30分~1時間程度、あらかじめ用意された台本(テキスト)を自分の声で録音する
- 録音データをアップロードし、AI音声生成をリクエスト
- 数日~1週間ほどで、自分の声をもとにしたAI音声モデルが作成される
- 完成したAIボイスを使って、テキストを読み上げたり、ナレーション作成に利用可能
録音のコツや注意点としては、できるだけノイズの少ない環境で一定のトーンで話すこと、台本をしっかり読むことです。初めての方でも、ガイド通りに進めれば問題ありません。商用利用やクオリティにこだわりたい場合は、有料プランの利用や追加サポートも選択できます。
以下の記事ではCoeFontの特徴も説明しているのでご興味がある方はどうぞ。
AI音声クローン・リアルタイム変換を実現する最新技術

ここでは少し技術的な話題も取り上げます。
AI音声合成の分野では、近年「クローン音声」「リアルタイム変換」といった新しい技術が次々に生まれています。従来のテキスト読み上げ型AIとは異なり、「話者の特徴や感情」をそのまま再現できるため、より自然で本人らしい音声生成が可能になっています。
特に話題なのは、VALL-Eやso-vits-svc、RVCといったディープラーニング型の音声変換です。
これらは数分から数時間分の音声データを学習し、まるで本人が喋っているかのようなAI音声モデルを作り出せます。また、リアルタイム音声変換にも応用が進んでおり、「マイク入力→即座にAI変換された声が出力される」システムも登場しています。
今後、個人ユーザーでも簡単に「自分の声をAI化」できる時代が来ると予想されます。ただし、これらの技術は高性能なPCや専門知識が必要だったり、個人情報・プライバシーの取り扱いにも配慮が求められます。
「自分の声をどのようにAIで使いたいか」によって、選ぶ技術やサービスが変わってくるでしょう。
自分の声をAIで使う際の注意点とよくある質問
最後に、AIで自分の声を使う際の注意点と、読者からよくある質問をまとめます。
・著作権・プライバシー
自分以外の声や著名人の声を無断でAI学習・公開すると、著作権や肖像権侵害になる可能性があります。必ず自分自身の声データのみ利用し、商用利用や公開範囲についても各サービスの規約をよく確認しましょう。
・精度・安全性
AIボイスは録音環境やデータ量によって精度が変わります。また、一部の無料サービスではセキュリティ面やデータの取り扱いに注意が必要です。信頼できるサービスを利用し、パスワードや個人情報の管理も徹底しましょう。
・よくある質問
Q:VOICEVOXで自分の声を登録できますか?
A:できません。現時点では、公式が用意した音声モデルのみ利用可能です。
Q:自分の声でAI音声を作った場合、どんな用途に使えますか?
A:動画ナレーション、オーディオブック、配信、ボイスサンプルなど幅広い用途で使えます。サービスによって商用利用可否は異なります。
Q:AIクローン音声で詐欺や悪用のリスクは?
A:可能性があります。AI音声の悪用は社会問題化しているため、個人でも慎重に利用しましょう。
このように、現状のVOICEVOXでは「自分の声」は使えませんが、他のサービスや技術を活用することで、十分に自分の声をAI音声化し、さまざまな用途に役立てることができます。
AI音声は今後さらに進化する分野なので、自分の目的に合ったサービスや使い方をぜひ検討してみてください。